不動産賃貸業について

不動産業界への転職を考えていらっしゃる方はご存知かと思いますが、ひとくちに不動産業界といっても「不動産取引業」、「不動産賃貸業」、「不動産管理業」の3つに分類されることは以前に申し上げたとおりです。
今回はリビンマッチのサイトを参考にした上で、このうちの「不動産賃貸業」についてご紹介できればと思います。

不動産賃貸業

「不動産賃貸業」とは、賃貸用の不動産物件に対して貸し手になるオーナーと契約して物件の宣伝活動を行う、また借り手となる入居希望者と契約を行って物件を貸し出す業務のことを指します。
貸主であるオーナーが自ら賃貸業として宣伝活動や契約業務を行うという場合もあります。

しかし、ほとんどの場合は仲介業者が貸し手と借り手の間に入り、宣伝活動や契約業務を行います。
賃貸向けの不動産の仲介業者は規模も様々で、物件には事業所や商業施設なども含まれます。
ですがここでは一般住居向けマンションやアパートなどの賃貸をする業界について考えていきたいと思います。

まず実際にある賃貸不動産の仲介業者とはどういった企業かいくつか挙げてみます。
賃貸不動産の仲介業者ではエイブル、アパマンショップなどのほかに、賃貸物件の建築と宣伝、そして契約までを受け持つ東建コーポレーションや大東建託、貸し出しの期間が特徴的なレオパレス21といった有名企業が代表的です。

このような企業をはじめ賃貸不動産の仲介業の会社において、営業職としては20代の若い世代が中心となって働いています。
基本的な入社条件としての実務経験や業界知識は問われないようです。

それよりも若さと体力で頑張って、経験を積んで成長してもらうという形かと思われます。

しかし勤務時間が長くなりがちで、体力を消耗する仕事のため高い離職率となってしまっているようです。
賃貸物件の建築まで行う企業では、より高度な営業スキルを求められているようです。
物件を投資として買ってもらい、顧客にオーナーになってもらわなくてはなりませんので、高い営業力が必要とされるため、40代以上の転職も多く見られるようです。

次に、仲介営業職の仕事内容について触れていきたいと思います。
一般に賃貸不動産の仲介営業職は、顧客への対応に多くの時間を費やし、また手間もかかる業務です。
顧客にとっては自分が多くの時間を過ごす、生活の拠点を探すわけですから、当然多種多様な条件が出てきます。
部屋の間取りや広さ、家賃や共益費はもちろん、設備面や周囲の環境、交通アクセスを含む地域の利便性など、条件をつけようと思えばいくらでもつけられます。

これら様々なポイントをまとめて、優先順位に応じて妥協する点があれば共有していきます。
そのうえで顧客の希望にかないそうな物件を紹介していきます。
顧客から実際の部屋を見たいと内見の要望があれば、その付き添いも行います。

無事に契約が成立すれば、申込書に必要事項を記入していただいて受理、賃貸契約書の作成と署名・捺印のお願い、契約に必要な料金支払いに関する手配、入居物件の説明事項の確認、物件の鍵の受け渡しといった具合に進んでいきます。
賃貸物件に住んだことのある方でしたらご経験はあるかと思いますが、あの入居時の一連の流れを行うことになります。
また契約が成立しなかった場合には他社に流れてしまわないように、より希望に合うと思われる物件を紹介できるよう、さらに調べていきます。

以上のように、仲介営業職が対応しなければならない業務は非常に多く、またひとつひとつが時間をとってしまうために仕事が長く、多くなりがちです。

業界には競合相手がごまんといますから、一人ひとりが1件でも多くの契約を取って生き残るために忙しく働いています。
営業職として、一から経験を積んでいきたいと思っている方にとっては、行動力や顧客との折衝能力、業務を効率化する力が付きますので有意義な面も多いかと思われます。

この不動産賃貸業という職種については先に述べたように、ほとんどの求人において業界の実務経験を不問としています。
ただし転職希望者であれば、何らかの営業経験があれば優遇されるといった傾向はあるかと思われます。
顧客の希望を聞き取り、あるいは希望を引き出してあげて納得のいく物件を紹介することから営業活動が始まりますので、個人に対する営業経験のある方はかなり役立つはずです。
うかがうべき顧客の希望条件は前述のように多岐にわたります。
希望している家賃の範囲や住居の広さと間取り、通勤・通学の経路など、柔軟に物件を提案できるように、顧客が必要としている条件をしっかりと把握することが、最終的に契約してもらうための最善の方法になると思います。

そのためには、顧客にできるだけ細かく住居のイメージを持ってもらうように、こちらからも引き出していく気持ちで臨まないといけません。
希望があまり無かったからといって安易に契約をまとめてしまうと、後になって未然に防ぐことができたはずのクレームが発生してしまう、ということもあり得ますから要注意です。

そして営業職の業務は顧客の対応ばかりではありません。

色々と細かい事務処理や空き物件の情報収集、物件オーナーとのやり取りなど並行して行わなければなりませんので、1日の業務時間は長くなりがちです。

そのため、体力的な疲れから限界を感じて離職、というのがこの業界のひとつの特徴となってしまっています。
仲介営業職に転職後、しばらくの間はペースや要領をつかめずに遅くまで仕事が終わらないといったこともあるかもしれませんが、業務内容の把握度合いや経験の蓄積で徐々に効率化されていくと思います。
まずは必要な知識をひとつでも多く身に付けることと、顧客対応を丁寧に行うことに尽力しましょう。

不動産管理業について

不動産業界とひとくちに言ってもその業務内容は多岐にわたっており、「不動産取引業」、「不動産賃貸業」、「不動産管理業」の3つに分類されることは以前お話したと思います。

不動産業界に転職を考えていらっしゃる方はご存知かとは思いますが、今回はこのうちの「不動産管理業」についてご紹介できればと思います。

不動産の管理業務の仕事は大きく4つに分けられるかと思いますので、順に説明していきましょう。

不動産管理業

まず1つめは入居者の対応業務です。
アパートやマンションなど賃貸物件の管理ですので、目的としては入居者の部屋での生活に問題が起こらないことが第一となります。
ですから、入居者からのクレームには迅速に対応しなければなりません。
クレームと一言でいっても、住人同士の対人トラブルからエアコンや窓など設備の故障、上の階で使用した水の漏水といった具合にその内容は様々です。

しかし共通して言えるのは、クレームの連絡は時間帯を選ばないということです。
おまけにクレームの処理は、場合によって入居者の怒りをおさめることから始めなければなりません。
緊急を要するときにはすぐにでも対応をしなければなりませんし、管理している戸数が多ければその分クレームの数も増えていきます。

もし入居者が家賃を滞納したときには催促を行わなければなりません。
家賃の未納は単なる払い忘れから、お金がないから払えないというケースまで様々です。
払い忘れの場合には、連絡して確認するだけで払ってもらえますので手間もそこまで掛かりませんが、問題は無視も含めた「支払うことができない」と入居者が主張してきた場合です。
そういったケースでは連絡が通じないこともままあるようで、本当に困っている場合もあれば、意図的に未払いを起こしているということもあります。

連帯保証人に連絡しなければならないこともあり、それで支払ってもらえればまだマシかもしれません。
なかには自分勝手な言い訳で支払いをゴネたり、口では払うと約束しつつ未入金のままだったりと、意図的に賃料を払おうとしない入居者や保証人もいるようです。
こういった入居者に催促や督促行為を根気よく続けていかなければなりませんので、精神的につらく感じてしまうこともあるかと思います。

そして退去する人が出た場合、退去の立ち会いをした後には原状回復に向けた工事の見積もりを業者に依頼して、退去者とオーナーの間でそれぞれの費用負担の割合を決める必要があります。
その他にも、入居者の賃貸契約の更新が迫ってきた場合には契約更新の有無の確認、更新の際には入居者に賃貸借契約書に記名捺印をしてもらう必要もあります。
入居者の対応に関しては、入居者にまつわる全てのことについてフォローしていくという考え方が必要になってきます。

2つめが、賃貸物件の空室を埋めるために入居者を募集する仕事です。
余程の好条件の部屋でもない限り、入居者が退去してから何もせずに次の入居者がすんなり決まるということはありません。
退去後に空室となった物件の宣伝資料を作成し、店頭やインターネット、周辺の不動産会社に広告活動を行い、物件の情報を知ってもらう努力をしないと、入居はおろか入居希望者からの問い合わせや内見の希望もありません。

また内見の結果、無事に入居希望の意思が確認できた場合には、契約に向けた初期費用の受領と入居日に行う鍵の引き渡しもまた大切な業務となります。

この業務に関しては、不動産会社によって違いますが不動産賃貸業の仲介営業を行っている人間のいる会社であれば、管理業の担当者が行うことはまずないと思われます。
しかし、小さな会社であれば当然様々な業務を兼任することとなりますので、営業がいない会社であれば管理担当の仕事となる場合もあるかと思われます。

3つめに賃貸物件の維持管理です。
管理している物件を定期的にまわって物件の維持管理を行う大切な業務です。
維持管理というのは、建物の共用部分の清掃や敷地内の雑草の除去、建物の部分的に破損している、または劣化しているところはないかなど、隈なく点検することです。

こういった業務は不動産管理業のなかでもビルメンテナンス業務と呼ばれています。
人の居住する建物のメンテナンスですから、物件の維持管理は正しく正確に行われる必要があり、消防法や建築基準法、原状回復に関するガイドラインなど色々な法律の知識に精通していることが求められるようです。
オーナーから管理を任せていただいている立場ですので、こういった仕事も重要となってきます。

4つめにオーナーへの対応業務です。
とりまとめた賃料の送金やその明細書の郵送、退去者が出た場合の原状回復工事の提案、建物の外壁や屋根などの大規模となる修繕工事の提案など、オーナーに対しても様々な業務があります。

当然のことですが、お金が掛かることに関してオーナーに無断で作業を始めるわけにはいきません。
管理業務の担当者からみると必要、もしくは不可欠であると判断されるような工事の場合であっても、オーナーが首を縦に振ってくれない、ということもままあることです。

そのような場合には、オーナーに工事の必要性を納得してもらえるように、丁寧にしっかりと説明をする必要があります。
こういったオーナーとの交渉も対応業務のひとつとなります。

また、オーナーといっても当該の賃貸物件の近くに住んでいるのかというと、必ずしもそうではありません。
まったく違う地方であったり、場合によっては海外に住んでいる方もいらっしゃいますので、賃貸物件の管理状況を報告するためのオーナーとのやり取りには注意する必要があります。

不動産の管理業務の仕事だけでもやらなければならないことは多数あります。
管理だけでなく賃貸業務の仲介営業も行わなければならない場合には、当然ながら部屋を探している顧客の対応もしなければなりませので、かなり大変な仕事となるのは間違いないと思います。
入居者からのクレームにしても、罵声を浴びせられることもあるかもしれませんし、家賃滞納者のなかには一筋縄ではいかない方もいるでしょう。

原状回復に関してはオーナーと退去者の双方とも金額の割合に納得がいかない場合には、両者の間で板挟みになって、どう解決したらいいのか途方に暮れることもありえます。
物件の維持管理に関しても、知識や経験が無いと破損部分の見落としなどが起きてしまいますので、日頃からの勉強も重要です。

こういった仕事内容ですから、入居者やオーナーからきついことを言われたとしても、それに耐えられる精神的な強さ、メンタルの強さが必要なのは間違いありません。
不動産の知識に詳しく、建物の設備に精通している優秀な人であっても、メンタルが弱いと厳しいかと思われます。
逆に経験が無く仕事ができないといった人でも、へこたれないメンタルさえあれば経験の蓄積に従って、だんだんと仕事を覚えていくことができます。

トラブルのときには大抵変わった人と遭遇することもあるかと思いますが、良い人もたくさんいます。
色々な人間と関わることが楽しいと思えるような人はこの仕事に向いているといえるでしょう。

不動産営業のコツって?

不動産業界で必要とされる不可欠な能力として営業する力がまず挙げられると思いますが、転職するにあたっては営業について考えることも、業界への適性を確かめる上で有効かと思います。リビンマッチのサイトを見ていると特にそう思います。

今回は不動産営業のいくつかのポイントとともに、営業の初心者が失敗しがちな例を交えつつ、営業を目指す方に役立つような内容になればと思います。

不動産営業を知る

初心者というのは営業に限った話ではなく、「経験がないために注力するポイントが分からない」というのはどの世界であっても一般に言えることかと思います。
力の配分や要領がまだ掴めていないということでしょう。
何においてもまだバランスがとれていないため、とにかく余計な動きが目立ちます。

営業になって間もない頃というのは、とにかく顧客に対し「見せる必要のない物件」を見せてしまいがちです。
不動産営業においては、顧客に目を通してもらう資料選びの際にも、余計な物件を入れてしまうのです。
おそらくは必要になるかもしれない情報が不足してしまうことを補うためなのでしょう。

資料の数は多ければいいというものでは無いのですが、経験の無さからくる不安がそうさせてしまうようです。
顧客の状況によっては問い合わせのあった物件だけを届けたほうが良いこともあります。
最初は経験やヒアリングによって選別する力を最初から持った方はいませんので、初めは上司に指導してもらい、どのように進めていけばいいのかを学んでいきましょう。

また要領がまだ掴めていない頃というのは、物件の案内についても同様に見せる必要のない物件を案内してしまいます。
どの物件をなぜ、どのように案内するのか、上司とよく相談しておくことがまずは必要になってくると思います。
適切な数と質の物件を紹介できることは、顧客と自分両方の負担を省くことにつながります。

営業の初心者というのは、とにかく顧客の提示した条件をかなえようと、一生懸命希望に合う物件を探します。
顧客のニーズを満たすことが物件紹介のゴールと考えますと、一見正しい行為に思われます。

普通、それが当たり前で間違ってはいないと考えられるでしょうが、こと不動産営業に限っては違ってくるのです。
というのも、顧客の希望と完全に合致したすべての要望を満たす物件というのは、普通に考えると存在する可能性は限りなく低いからです。
顧客は頭の中のイメージを担当の営業の方に共有してもらうべく、細大漏らさず要望を伝えてきます。

それは自分の希望がきちんと伝わるように、誤解されることが無いようにするための努力と言えるでしょう。
しかし立場を変えて考えますと、先ほど申し上げたような営業の初心者がやってしまいがちな「必要以上な情報の提供」と実は同じことなのです。

ほとんどの場合、顧客との相互理解を深めていき、条件の優先順位と取捨選択を一緒に整理しながら、最終的にどの物件を選び取るのか判断をしてもらうことが営業の仕事になります。
やはりお互いの無駄な労力はなるべく省くことを念頭に置きつつ進めていくことが重要なポイントとなります。

顧客の物件の購入時期を見極めることも営業にとって重要なことです。
必要に迫られて真剣に物件を決めるつもりで相談にいらっしゃる顧客もいれば、ただの興味本位だったりあくまで情報収集と割り切って、相談のみを目的とした方もいらっしゃいます。
営業としてはそれによって物件を紹介していく期間や優先度も変わってきますので、顧客がどのくらいの確度でだいたいいつ頃に購入しようかと考えていることを予想することは、契約を取るためには必要な技術となってきます。

そのためには顧客に対するヒアリングの力を高めていくことが求められます。
営業として効率よくヒアリングしていく手法とはどういったものなのか、考えていく必要があると思います。
物件へのニーズを把握する際と同様に、不動産営業では問い合わせに来た人全員に同じように対応していてはいくら時間があっても足りません。
一目で購入予定のある顧客かどうかを判断することは出来ませんので、ヒアリングを通して区別していくことが必要になるのですが、その際に最低でも以下の2つの情報を聞き出すように心掛けましょう。

聞くべきことのひとつめは、顧客が物件を探すことになったきっかけです。
物件探しの理由をまず聞くことによって、家や土地を購入することに対する本気度を測ることができます。
家族構成の変化、例えば親との同居や子供が生まれることになった、という方はかなり物件を買う可能性は高いと言えるでしょう。

また、家賃のお金をオーナーに払うくらいなら家を買ったほうが良いかと思った、といったきっかけであれば理由としてはありだと思いますが、急いで物件を決めなければならない、という状況にあるとは言えません。
このように物件を購入する理由を聞くことで、顧客の購入の確度や成約までの時間的余裕を予測することができ、顧客に対しての優先順位を決めていくことができます。

最も急いで購入したい方への対応を厚くすることが優先順位として正しいですし、購入の可能性が高い顧客からサポートしていくことが、他の営業に先を越されない、営業としての基本となります。

ですからこの質問は非常に大事な質問と言えます。
顧客とのファーストコンタクトでもうかがえる質問ですから、「お住まい探しはどういったきっかけからですか?」ということを問い合わせがあった最初に聞くという意識を、ぜひ持つように心掛けましょう。

もうひとつ聞くべき質問は、顧客の年収や手持ち資金額などの資金計画と残債です。
会って間もない営業に対して自分の収入の詳細に関して話したいという方はほとんどいらっしゃいませんから、こちらは幾分聞きにくい質問と言えるでしょう。

しかし、営業としても給料をもらって働いているわけですから、仕事として利益にならない人の相手をしていては当然いけない訳です。
ですから資金的に買えないという方に対しては、極力時間を割かないようにするための努力をする必要があるのです。
問い合わせに来る方は自分が家を買うことが出来ると思って相談に来ますが、実際には住宅ローンを組めずに買えないという方もいらっしゃいます。

こういった理由から、手持ちの資金と年収を聞くこととそれを確かめることは重要であり、早めに行うべき仕事なのです。
何度も資料を届け、車で物件の案内をさんざんした挙句、その方が住宅ローンを組めない方と判明することは、お互いに何時間も無駄にしてしまうことになってしまいます。

具体的な営業活動に入る前に聞いておくことが必要でしょう。
そしてこの質問は、お客様の気持ちを害することなく、自然に聞き出すようにしなければなりません。
顧客の希望する物件の価格帯を聞き取る際に、それに付随する形で質問できればいいかと思います。

もしくは、住宅ローンの事前審査をお勧めすることも有効ですが、この場合は他に住宅ローンが通らなかった方にまつわる失敗談とセットでお伝えしましょう。
念には念をという形をとって、あくまで「誠意からくる提案」ととってもらえるようにすることが大切です。

以上、不動産営業の主に初心者に関して必要なポイントをいくつか挙げてみましたがいかがだったでしょうか。
転職を考えている方に具体的にイメージしていただければ幸いです。

他の業界で営業経験のある方にとっては、共通する面もあって持ち込み可能なスキルもあるかと思います。
とにかく最初の段階では、周りの経験者の教えには素直に従っていくことが一番だと思います。
そのなかで経験を積みながら、自分なりに考えつつ工夫していくことで立派な不動産営業を目指していきましょう。

建設業界と比べてみた

不動産業界に関する情報を集めていると、必然的にかかわりの多くなってくる業界として、建設業界があげられると思います。
不動産が扱うのは土地と建物ですが、その建物を実際に建てているのが建設会社です。
お互いに隣接した業界ですので、比較することで新しい知見を得られることもあるかもしれません。
今回は少し視点を変えて、この隣接する建設業界について触れていきつつ、不動産業界の特性についても考えていけたらと思います。

建設業界とは?

建設業界も不動産業界と同じように、2020年の東京オリンピックに向けた建設ラッシュにより活況を呈しています。
建設業界の市場規模は15兆円以上と大きく、労働者数も非常に多く、平均勤続年数はほかの業界とくらべるとやや長いようです。
その理由として、職種的に専門性が高く、ベテランが長く活躍しやすいという傾向があります。
ですから平均年齢も43.9歳と高く、平均年収も600万円以上と高くなっており、営業活動を主体とする不動産業界とはかなり違うところであり、うらやましい限りです。

しかしながら、年齢も年収も高いことについては、単にベテランが多いことだけが原因ではないようです。
その理由について建設業界の抱える問題と地続きとなっていますので、一緒に説明していきたいと思います。

建設業界の抱えている課題として最初に挙げられるのが、深刻な人手不足です。
先程、労働者数が多いと述べましたが、あくまで他の業界に比べると、という話であって足りてはいないのです。

東京オリンピックや、東日本大震災に代表される近年の様々な激甚災害からの復興事業の影響によって、建設業界の需要は増加しているにもかかわらず人手不足に見舞われています。

とくに工事現場で稼働する職人と、その職人をマネジメントする技術者の不足が深刻で、震災の復興事業も進捗は遅れているのが現状です。
人手不足によって職人の労務費は当然上がりますので、建設コストの増加につながってしまい、その結果開発計画が頓挫してまったという事例もみられます。

不動産業界と同様、東京オリンピックを前にしたこの好景気に沸いているにも関わらず、建設業界だけなぜそこまでの人手不足が起こっているのでしょうか。

理由の一つとして挙げられるのが、若い世代の建設業離れです。
少子化の影響もあり、建設業界に就職する若者の数は減少傾向にあり、2020年には15万人ほどの労働人口の不足に陥ると言われています。
まず若年層が業界に入ってこなくなって入職率が下がり、せっかく入った若手の職人も業界を離れるため在職率も下がる、という悪循環が続いているのが現状です。

こういったサイクルで高齢化が進む一方で、若手が増えていかないわけですが、建設業界に「きつい・汚い・危険」のいわゆる「3K」のイメージがついてしまい、にもかかわらず基本的な福利厚生が徹底されていないというのも大きな理由と思われます。

二つめの理由としては、「リーマンショック」の影響による職人離れで、これが決定的だったようです。
徐々に起こりつつあった建設業界の人手不足に、更なる拍車をかけたのがアメリカのサブプライムローン問題に端を発したリーマンショックでした。

リーマンショックの混乱は世界中に広がり、日本も例外ではなく国内の建設需要は激減してしまいました。
これは職人の仕事の激減を意味し、結果仕事の無くなった職人たちは、食べていくために他の産業へ転職していくか、仕方なく退職の道を選んでしまいました。
その後の景気回復とともに、建設需要も回復してきたのですが、職人の数は減り続けたままでした。
元請けの建設会社の多くは人手が足りなくなったら辞めた職人を連れてくればいいと考えていたのですが、一度業界を離れた職人は簡単に戻ってくることはなく、実際に断られるケースも多かったようです。
その結果、景気が回復したのち増加した需要に対し、それに見合う労働力を確保できない人手不足の状態が続くようになってしまったようです。

不動産業界と同じく、建設業界も人々を取り巻く街や環境をつくっているものといえます。
ですから不動産と同様に建設業界のマーケットに影響をあたえてしまう物もまた、世界規模の好不況や、国内の少子化問題や災害など、幅広いジャンルのものとなるようです。

現実に起こっているニュースに業界が左右されていくところは不動産業界も同様です。
しかし不動産業界が2020年以降を懸念されているのに対し、建設業界は好景気に沸く今まさに課題に直面しているといえます。
建設業界は需要の増した現在も、建設会社の企業数そのものは多過ぎて過剰供給の状態でもあるため、各社の熾烈な価格競争により、その利益率は低いというおかしな矛盾もはらんでいます。
そして材料費の高騰と前述のような人件費の高さも利益率を低くたらしめている要因とされています。

こういった状況を打開するために、一部の企業では職人の待遇改善を始めているところもあるようです。
各社において、賃金面では「優良技能者手当て」など技術や経験、指揮能力などが買い叩かれることのないように、手厚く評価する方向に進むことでモチベーションを高め、人材の流出を防ぐねらいのようです。
社会保険を完備することにも注力し始めています。
とくに「社会保険未加入のところは国土交通省直轄の工事を受注できない」という決まりにするなど、システムから変えていこうという兆しが見え始めています。

また職人の長時間労働を防ぐために、工数を削減する工夫に取り組んでいたり、その省工数化の方法を共有化してみんなで使えるようにしたりと、業界全体で問題解決に取り組んでいるようです。

不動産と建設の両業界の最大の違いとして、不動産業界は他の業界から転職しても営業や接客の経験などボーダレスに通用する能力があるのに対して、建設業界で使える力というのは建設業界で育てていくしかないという点にあると思います。

その点に気付き始めた建設業界はようやく待遇の改善を始め、若い世代の獲得に力を入れ始めたようです。
今後迎える問題としては、不動産業界と同じく2020年の東京オリンピック以降の需要がどうなるかというところです。
リーマンショックのときと同じ轍は二度と踏まないように願うばかりですが、建設の仕事がどうなるかはその時を迎えてみないと分かりません。
中規模の企業が合併するとの意見もあったり、建設会社が合併して相乗効果を出すのは難しいので意味が無いなど様々な意見があるようです。
しかし間違いなくその影響は隣接する不動産業界にも伝わってきますから、その動向を注視しておくことは重要かと思います。

業界の動向と今後

不動産業界を目指す方にとって、業界が持つ今後の動向や課題などが気になる方は多いと思われます。
2018年現在、不動産市場は好況に沸いていますが、このような状況は東京オリンピックまで続いていくことが予想されています。
しかし、その後のことを考えると見当がつかないという方もいらっしゃるかと思います。
今回は不動産業界を目指す方へ業界の動向と今後の課題についてご紹介していきたいと思います。

不動産業界のいま

不動産業界と一口にいってもマンション開発や不動産流通、アパートや商業ビルなどの賃貸業など、その分野は様々で、まさしく我々を取り巻く街や環境をつくっているものといえます。
ですから不動産市場に影響をあたえるファクターもまた、世界情勢や景気、国内の少子高齢化問題や天災など、ジャンルを問わない幅広いものとなります。

現実に起こっているニュースなどに業界は左右されていきますので、業界内の動向はもちろんのと、あらゆる知識を幅広く取り入れていくことで対応していく必要があります。

財務省の法人企業統計調査によりますと、不動産業界は国内第4位の規模を誇るマーケットとなっており、その市場規模は39兆円を超えています。

不動産業界の景気に関しては、全体的に上向きの傾向が見られます。
金融が緩和され、日本銀行のマイナス金利政策のおかげで住宅ローンは低金利で組むことが可能になったため、その影響もあって新築の住宅着工件数はここ数年増加傾向にあるようです。
まさしく不動産の購入や投資にとって、最適な時期と言えるでしょう。

都心あたりでは2020年の東京オリンピックに向けて、選手村の予定地である湾岸エリアを中心に大規模なビル開発が進んでいます。
他方、渋谷や虎ノ門、市ヶ谷などでも商業ビルやタワーマンションの建設が続いていて、売れ行きも好調を維持しているのが今の状況です。
不動産業界の全体的な活況は今後2020年の東京オリンピックまで続くと見られています。

しかしながら、このような好景気の流れはオリンピック後にも持続するとは予想されていないようです。
現在の不動産バブルはオリンピック効果を見込んだ投機目的の要素が強いために、需要が落ち着くと見られるオリンピック開催直前になった

途端、大量の不動産が売却されたあげくにバブルがはじけて地価が暴落といったこともあり得ます。
現実のところ、地価がどう動くかはその時でなければ分かりませんが、現在の高い需要が永遠に維持されていくものではないことは確かなので、将来に不安を感じている業者も少なくないようです。

そして日本国内で抱えている課題として、一番分かりやすく確実に影響が出てくるのが人口減少問題です。
もし仮に現在の少子高齢化がこのまま進み続け、若年層を中心とした生産年齢人口が減り続けてしまうと、アパートやマンションの需要も減ってしまい、都市部でも空室や空き家が目立つようになってしまうかもしれません。

人口減少社会を見据えて、いかに物件販売の流通網を作り出すかが、不動産業界で生き残っていくカギとなっていきそうです。
社会の構造変化に対して柔軟に対応できる、多種多様なサービスを作り出す必要があります。

ではそういった課題に対してどういった対策が考えられるでしょうか?
人口減少の影響によって空き家などが増えるとの予想から、中古住宅を扱うケースも増加していくかと思われますが、中古住宅業界ではビッグデータ解析を使った情報公開システムが採用されています。
情報公開システムは中古住宅の購入を検討する方へ、安心と信頼をあたえる役割を果たしているといえます。

いっぽう不動産情報の活用する仕組みとして、業者間で不動産情報を登録・閲覧できる「REINS(レインズ)」というシステムがあります。
レインズとは、Real Estate Information Network System(不動産流通標準情報システム)の略称ですが、この情報システムは会員のみが使えることになっており、一般の顧客ユーザーには公開されていません。

こういった顧客ユーザーと不動産業者の情報格差をなくすことも、業界が今後の時代に対応していくためには必要なことと思われます。
情報公開のIT化を進めていくことで、誰もが平等に不動産情報をキャッチできる、キャッチしやすいシステムを作り出すことにより、さらに市場は活況を維持し続けていくことが可能になるかもしれません。

ビッグデータ解析を使ったマンション(想定)価格をオープン化して、無店舗運営、手数料割引を実現している不動産会社もあります。
無店舗とはいえ、もちろん売買に関する相談や、契約までに必要なサービスにはスタッフによるサポートがありますが、IT化によるシステム改革は有効な対策になる、という代表的な例かと思われます。

また不動産業界ではビットコインで有名なブロックチェーン技術を応用した、高度な情報管理システムを活用していく動きが見られます。
賃貸物件を例としますと、住宅の供給をはじめ物件の管理や入居者探し、入居希望者の案内から契約成立まで、一連の流れを完成させるためには当然色々な業者とのやりとりが発生します。

新たな情報管理システムにつなげることによって、これまでのような個別対応の煩雑さをなくした一括サービスを提供することにより、顧客の満足度アップが期待されています。
また個々の不動産会社が共有できるようなプラットフォームや標準フォーマットを作り出すことが可能となれば、不動産業界全体が連携のとれた一つの新しいシステムとして生まれ変わるかもしれません。

まとめますと、今のところ好景気な不動産業界も、2020年の東京オリンピックでいったん需要は落ち着くと見られおり、人口減少による空き家の対策など今の段階からの問題解決に向けた取り組みが不可欠となります。
打開策として、情報管理のIT化やブロックチェーン技術を用いたシステムの刷新などは市場の成長を占う重要なファクターになり得ますので、これから不動産業界を目指す人材には先進技術への興味、あるいは多少精通していることも求められるかもしれません。