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「リビンマッチ・不動産業界転職人材」今回は「ゼネコンとは その2」です。
今回も、不動産と関わりの深いゼネコンという会社についてご紹介していきたいと思います。
前回ゼネコンについて、その定義や業務内容についてご紹介いたしました。
おさらいとして、ゼネコンは建築で多くの協力会社をまとめあげるリーダーとして、社内に設計・施工・研究という3部門を有している、ということはすでに述べました。
詳しくは前回のゼネコンとは その1をお読みください。
その3つの部門、設計・施工・研究がゼネコンに必要とされるには理由があります。
総合建設業者である理由
前回ご紹介したゼネコンの実務内容について、例として挙げたマンション建築を請け負う流れからも分かりますが、ゼネコンにはディベロッパーの窓口となる役割があります。
そのため、設計だけができたり施工のみ行えるということでは、ディベロッパーと総合的な協議をすることができません。
見積もりを出す際に、ゼネコンに設計部門がなければ、ディベロッパーの要望に応えることができません。
仕様や品質の協議をする際には、設計部門と実際に施工する経験、ノウハウがないとディベロッパーに提案することができません。
そして、設計・施工で得たノウハウを活かして、どうやって品質を保ちつつコストダウンを実現するかという研究も行っていく必要があります。
売り上げが多く、体力のあるゼネコンが研究を怠ると、大きな意味では日本の建築技術の衰退につながってしまうのです。
また、着工後に図面が変わることもよくあり、その他資材などの多くの細かい変更も頻発します。
仮にゼネコンに設計・施工・研究の部門のどれか一つでも欠けていたら、そのような変更に柔軟に対応することができなくなってしまうのです。このような理由から、リーダーシップをとることになるゼネコンには設計・施工・研究の3部門が必要となります。
・ゼネコンと入札
ここで話は少し変わりますが、皆さんはゼネコンという言葉から連想できることはないでしょうか。ゼネコンとセットとなる言葉といえば「入札」があります。
入札とは、ゼネコンが仕事を請け負うときに、金額を記載した札を入札して、企業が仕事を獲得することです。
通常の入札は競争入札と呼ばれるもので、各社が「工事金額」を競って入札することです。
ただし、ゼネコンを選定する基準には「工事金額」以外にもあり、工事概要、工事期間、工事の質なども示し、基準を満たす必要があります。
ですから事業計画書を簡易的に作成して、あらかじめ工事の発注主に提出しておき、そのうえで工事価格を導き出して、金額を書いた札を入
札箱に入れます。
発注者側は、すべての企業の入札が終わると札を確認します。
ゼネコンの選定基準としては「最も工事見積額が安い企業」と「工事予定価格に一番近い企業」の2つがあり、いずれか一方の基準でゼネコンが選定されます。
「最も工事見積額が安い企業」だけではなく、「工事予定価格に一番近い企業」という基準があるのは工事の品質を確保するためです。
極端に安い金額だと工事の質にリスクが生じますので、その点を注意して事業計画書を考慮し、そのうえでゼネコンを選定します。
ゼネコンは、ディベロッパーから仕事を依頼されるほか、こういった入札という形でも仕事を獲得します。
ここで入札の際に問題となる談合についても少し触れておきましょう。
ニュースなどでよく耳にするのは、「ゼネコン」「入札」ときたら次は「談合」です。
談合という言葉自体は「話し合い」という意味ですが、ここで使われる談合はいわゆる悪だくみの話し合いです。
競争入札をする理由というのは少しでも工事価格を抑えることであり、価格の高騰を防ぐことが目的です。
公共事業であれば、税金使うためなおさら工事費用を抑えなければなりません。
しかし談合で話し合われるのは、競争するはずのゼネコンと発注業者側が、事前に裏で入札価格と落札価格を決めておくことです。
仕組みとしては、入札したゼネコンには十分に利益が出るようにして、その中から発注者にキックバックが渡されるという形です。
スーパーゼネコンと大手・中堅ゼネコン
明確な定義があるわけではありませんが、ゼネコンは売上高によって3種類に分かれます。
それがスーパーゼネコンと大手ゼネコン、そして準大手(中堅)ゼネコンと呼ばれるものです。
ゼネコンで売上高が年間1兆円を超える企業をスーパーゼネコンといい、トップ5を独占している会社をいいます。
スーパーゼネコンは「大林組」「鹿島建設」「清水建設」「大成建設」「竹中工務店」の5社です。
この5社は日本の不動のスーパーゼネコンとして知られており、5位と6位の差は5,000億円近くも開きがあります。
大手ゼネコンはスーパーゼネコンに準ずる規模のゼネコンで、目安としては年間売上高3,000億円以上となっています。
場合によって3,000億円以上を準大手、4,000億円以上を大手と分けることもあります。
スーパーゼネコンほどではありませんが、大手・準大手ゼネコンも有名な大企業であり、超高層タワーマンションや複合ビル、商業施設を手掛け、それ以外にもダムや発電所、公共事業など多くの不動産を建築しています。
・サブコンとは
ゼネコンと対比して語られる言葉に「サブコン」があります。
サブコンとは、ゼネコンの下請けとして実際の土木・建築工事を請け負う建設業者のことを指します。
ゼネコンがリーダーであれば、サブコンはゼネコンの指示に従うメンバーという感じになります。
サブコンにはさまざまな専門業者や協力会社がいて、ゼネコンはサブコンそれぞれに仕事を振り分けます。
サブコンの進捗管理や調整をするのがゼネコンの仕事です。
サブコンは多くの種類があり、とび職や大工などのいわゆる職人を擁する企業であったり、電気設備や空調設備の建設を専門にしている企業などさまざまです。
また、大工といっても木造大工もいれば、型枠大工と呼ばれる鉄筋コンクリートや床・壁などをつくる大工もいますし、とび職であれば工事現場の足場をつくる職人もいれば、鉄骨を組み上げる職人もいます。
他にも電気設備だったり、水道の配管、機械設備の専門家も集まりますし、家具や金物、フローリングや塗装、タイルなどそれぞれの箇所にそれぞれの専門家がいます。
これらすべてがサブコンの企業ですから、ゼネコンがいかに多くの企業や人々と一緒に仕事をするかが分かります。
そしてゼネコンはサブコンを束ねる立場ですから、ゼネコンの現場監督には多くの知識が求められます。
サブコンにも現場監督がいて、自分が管轄する場所の施工管理を行います。
ゼネコンの現場監督の下でサブコンをまとめ上げ、リーダーであるゼネコンの現場監督を支える役割を担います。
建設現場での1日の流れとしては、大抵の場合ゼネコンとサブコンの全社員・全職人が集まって朝礼を行ってスタートです。
朝礼後、サブコン各社で集まり現場監督を中心に打ち合わせをして、進捗確認や安全確認、指示出しをします。
ゼネコン直下のサブコンであれば、ゼネコンの現場監督がその役割を担うこともあります。
また、ゼネコンの現場監督は1人1物件が原則で、それ以上になる余裕もありません。
それほどゼネコンの現場監督というのは現場のすべてをカバーするため大変なのですが、サブコンの現場監督は1人で複数物件を担当するケースもよくあります。
サブコンの管轄する場所は限定されていますので、サブコンの現場監督が他の現場に出て不在ということもあるのです。
その際の進捗管理はゼネコンの社員が行うこともあり、このようにゼネコンとサブコンは密接な関わりを持っています。
ゼネコンとサブコンが力を合わせることで、不動産を完成させているのです。
ゼネコンについてのご紹介は以上になります。
ニュースや新聞では当たり前のように使われるこのゼネコンという言葉ですが、案外知らないことも多かったのではないでしょうか。
2回にわたって説明して参りましたが、今回はゼネコンまわりの入札や協力会社との連携も含めて紹介してきました。
不動産と関わりの深いゼネコンについて知っておくことは大いに役立つと思います。